筋ジストロフィー医療研究会

本研究会について

目的(設立の趣旨)

会長:小長谷 正明

小長谷 正明(国立病院機構鈴鹿病院名誉院長)

幼少期から筋肉の発達が悪く、やがて歩けなくなり、ついには心不全や呼吸筋障害で不幸な転機をたどる筋ジストロフィー(以下筋ジス)に気づかれたのは、19世紀になってからのことです。日本でも、1880年代には本邦特有の福山型先天性筋ジストロフィーらしい女児が報告されています。

また、太平洋戦争終戦後の日本では、この病気は極めて劣悪な医療・福祉環境に置かれており、1964年になって、当時の厚生省が政策医療として国立療養所(現・国立病院機構病院)で筋ジス患者を積極的に受け入れ始め、その後27病院で約2500床がいわゆる筋ジス病棟として整備し始めされました。1979年に私が初めて筋ジス病棟に足を踏み入れたが時、あまりにも悲惨な身体状況で、進歩してきたはずの医学の恩恵をほとんど受けていないことに衝撃を受けたものです。長い間、病気の本態も分からず、また、治療法もない、大変な難病のままだったのです。

筋ジスの医療が劇的に変わったのは、有名なDuchenne先生の発表から120年後の1980年代後半です。一つは、コンピューターや精密機械工業の発達で、人工呼吸器療法での生命時間の延長、それを搭載した電動車椅子などでの空間的拡大、インターネットなどのITによる精神的空間の拡大です。筋ジス医療を行っている各病院は積極的にこれらを取り入れ、いかにして安心で確実な治療法となるかを研究し、その結果を持ち寄って情報を交換して広めていきました。やっと人間らしい療養をサポートできるようになったのです。

そして、言うまでもなく遺伝子の確定と病気の筋肉の障害メカニズムが明らかになってきたことです。2016年にはアメリカで遺伝子治療が承認され、先端の生命医学の分野でも、iPS細胞の確立と応用のなどと、次々と新しい発見やアイデアが生まれています。電子工学や機械工学の成果も応用されていくことでしょう。何年か後、筋ジスへの先端医療が確立され、治る病気に変わっているかもしれません。

しかし、筋ジスの医療現場では、様々な重度の障害を抱えた患者さんたちにいかに良い医療、看護、療養などを提供するかという課題が山積です。また、先端技術が医療に取り入れられた時に、きちんと対応できなければいけません。この“筋ジストロフィー医療研究会”は、この病気について研究し、成果を交換し、より良い医療現場と医療スタッフを作り上げていくことを目的としています。

会則

筋ジストロフィー医療研究会 会則

電子配信対応に伴う著作権の確認について

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